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私と同じように、幸せだと言うエリさん。
私が嬉しさと妙な照れで俯いた瞬間、エリさんが「あっ!!」と声を上げた。
「?」
反射的に顔を上げエリさんを見る。
エリさんの視線は私の後ろに向かっていた。
「…言っているだろう?そういう事は俺が聞いている時に言え、と。」
ビクッ!!
低い声が背後からした途端肩が跳ねる。
と同時に、顔が真っ赤になっていくのが自分でも分かった。
「…い、いつの間に帰って…」
「ここのところ忙しかったからな。たまには半休をとろうかと帰って来たんだが…正解だったようだ。おかげで良い事が聞けた。」
意地の悪い声で話しつつ、海斗が私の座るソファーの背もたれに腰をかける。
……なんで本人がいない所で言ってた事がバレると、こんなに照れ臭いのだろう。
「あ、あの…この度は…」
会話の切れ目を狙って、エリさんが立ち上がり口を開いた。
海斗に謝ろうとしているのだ。
しかしそれを片手で制止し、海斗が微笑む。
「謝らなくて良い。引き受けたのは私だからな。ただ…」
そこで言葉を区切り、海斗の瞳が私の顔を見つめた。
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