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いつ、眠っていたのだろうか。
勢い良く起こした身体は、癌になる前の健康的なものだった。
早速私は夢だと思い、また身体を寝かそうとした。
しかし、言うことを聞いてくれない。いつの間にか勝手にスリッパを履き、勝手に窓際へと歩いていた。
カーテンが青白く光り、現実離れした雰囲気を放っている。まるで、現実と非現実の仕切りみたいだった。
また勝手に動くのかと待っていると、自分で動かせることに気づいた。
右手、右足、両足両手。身体も捻れる、身体が動く。
忌々しいまでについていた管のようなものもなくなっており、それが爽快だった。
一気に解放された身体、自然にカーテンへと目がいく。さっきから揺らめいているのに、窓が開いているような様子はない。
風でもないのに、動いているカーテン。私は無性にそれを、どけたくなった。
胸騒ぎ、なぜか嫌な予感。
カーテンに伸びる手、しかし止まる。
また聞こえてきたからだ、あの音が。私の周りを囲むように、けたたましく。
好奇心と恐怖心、私の心は一瞬葛藤したが……
結局、再度手を伸ばした。
一層大きくなる音を無視して、カーテンを思い切り掴んだ。その感触は、言葉にできないほど柔らかかった。
そして、掴んだと同時に消えた音。私はゆっくりと、カーテンを横に引いた。
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