ドミノと月と空耳と

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「先生、患者が息をしていません!」 「緊急治療室に運べ! 急げ!」 慌ただしい声が、病院内に響く。患者の容態が、急変したようだ。 私は、もちろんその患者を知っている。 「ママー、お父さんどこにいるのー?」 無邪気に見上げて私の手を握る息子は、今日お父さんに会わせる約束をしていた。 「あなたのお父さんはね、こっちよ」 私が向かったのは、霊安室だった。
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