疑惑

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試合後に風呂を貰い、着流しを絞めていると何やら外が騒がしい。 何があるのか気になるが、¨化け物¨その言葉に聞くのも躊躇ってしまう。 「あ、番井さ~ん!」 走り寄ってくるのは…総司だ。 「藤志郎で構いません。それより今夜は何かあるんですか?」 総司の傷は大したこと無さそうだ。それに内心胸を撫で下ろしながら、パタパタと忙しい女中に目をやる。 「今夜は藤志郎の歓迎会ですよ!配属もその時分かります。」 歓迎会…歓迎されていいのか。少しの葛藤に、藤志郎は頭を傾けた。 配属…聞くところによると、組は今大まかに四つに分かれると言う。 一、局長 二、副長 三、助勤 四、観察 後は平隊士といったところか。 いずれにしても入った早々に役所に当たるわけは無いだろうし、平隊士だろう。と、藤志郎は淡く笑んだ。 「流石、藤志郎~!格好いいね!」 茶化す総司に藤志郎は全く意味が分からない。 と、 「総司が負けたって?またえらく別嬪にやられたなあ。」 総司の他にガタイの良い…暑苦しそうな男が。 「ああ、俺は原田ってんだ!同じ助勤同士気張っていこうぜ!」 藤志郎には原田の言っている意味が分からない。¨同じ、助勤¨…とは? 「あーあ、バラしちゃった。まだ秘密にして驚かせたかったのに!」 さっき総司が茶化していたのはこの事か。嫌な予感程当たる。 「待て…待て待て…今日、入隊したのに助勤!?」 動揺を否めない藤志郎に、総司も原田もニカッと笑った。 「昨日、今日、明日なんて関係ないんですよ。それが実力です。」 総司はサラリと言ってくれるが…名だたる物が付いてしまえば、きっと自由人では居づらくなる。 勤王党と変わらないな。藤志郎は思って以蔵を思い出し、溜め息を漏らした。
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