親切なキミ

10/20
前へ
/571ページ
次へ
小さくなる後ろ姿を眺めていると、爆発したかのような黄色い声が教室内を飛び交った。 「な、何っ!?」 その発信源は主に女子で、男子はその発狂ぶりに引いていると言った方が正しいかもしれない。 あまりの派手さにびっくりしたとか? わたしも驚いたけれど、叫び出す程のことではないと思うし。 まるで芸能人にでも遭遇したかのような騒ぎっぷりを横目に、さっきから空腹を訴えるお腹を沈めるために自分の席へと戻った。 やっとエビフライにありつける! 嬉々としてお弁当箱を開けると、こんがり美味しそうなきつね色をしたエビフライや卵焼き、他にも幾つかのおかずの匂いに、わたしのお腹がグゥと鳴った。 「いただきますっ」 エビフライを口に入れようとしたまさにその時、誰かが背後から両肩に手を置いた。 「ぎゃっ!」 突然の接触に驚いて、可愛らしさの欠片もない声が飛び出てしまった。
/571ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10492人が本棚に入れています
本棚に追加