親切なキミ

11/20
前へ
/571ページ
次へ
「何を暢気にに弁当食べようとしてんのさ! 一体どういうこと!?」 首を絞めかねない勢いでわたしの肩を揺さぶられて、箸で摘まんでいたエビフライが弁当箱に帰っていった。 「あっぶな……ちょっと茜(あかね)! エビフライが落ちるところだったじゃ、ん……」 振り返ればすごい形相をしたクラスメート、伴野茜(ばんのあかね)がいて、食べ物の恨みはなんぞやを語ろうとしたわたしをたじろがせた。 「エビフライなんかどうでもいい! さっきのはどういうことかって聞いてんの!」 「……さっきの?」 わたしの頭はすでに弁当箱をカラフルに彩るおかずでいっぱいで、茜の言う『さっきの』に思い当たらず、首を傾げてみる。 「惚けないでよ。世界地図片付けに行ったきり戻ってこないから、また迷子になったんじゃないかと心配してメールしても電話してもでないし。で、やっと戻ってきたと思ったら、小林(こばやし)先輩と一緒だし!」 「小林……先輩?」 「ちょっと、まさか知らないの? あの金髪の人、小林聡悟(こばやしそうご)先輩。超有名人だよ!?」
/571ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10492人が本棚に入れています
本棚に追加