親切なキミ

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そこまで言われてようやく浮かんだ、わたしを案内してくれた人。 「あー……」 あの金髪の人、小林先輩っていうのか。 しかも有名人とは……。 「で、何で小林先輩と一緒だったわけ? 知り合いなの?」 さっきから質問責めだなぁ、とぼんやり思いながらも目の前でいいニオイを放つお弁当の誘惑に勝てず、食べ逃したエビフライを口に運んだ。 「違うよ。道に迷ってたら送ってくれただけ」 口に含んだ一口を飲み込んでから答えると、茜の顔はみるみるうちに明るくなっていく。 「でかした!」 「はっ?」 いい加減にお弁当を食べさせてくれないだろうか。昼休みもあと十分で終わっちゃうし、授業が始まる前にトイレにも行きたい。 今のわたしには一分一秒でさえ惜しいのに、わたしの前の席の椅子に座り込んだ茜は、まだ何かを喋りたそうに目を輝かせている。
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