トクベツなキミ

親切なキミ

そこは高校の敷地内でも、少し外れ。

入学して二ヶ月経つのに、極度の方向オンチのせいで、未だに校内地図が覚えられない。

ていうか、ここ、どこ？

世界史の授業が終わったのと同時に世界史教師から社会科資料室にでっかい世界地図を運ぶように命じられ、日直であるわたしがそれを押し付けられたわけなのだけど。

行きは先生の後をついていけば良かったのだけど、見事に帰り道で迷ってしまった。
元来た道順を帰ればいいのに、それがわからない。

別に校舎なんて果てしなく広いわけじゃないのに、どうしていつもこうなのだろう。いい加減、自分が嫌になる。

入学したての頃は、歩いてればそのうち辿り着くだろう。そう思っていた。
けれど不思議なもので、歩けど歩けど一向に到着できないどころか、同じ場所をグルグル回っていた。
その時は、通りかかった先生に恥をしのんで教室まで連れていっていってもらったのだけれど、前を歩く先生の肩が終始震えていたのは言うまでもないことだと思う。