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「美季ー!」
「あ、おは……っ!」
前方から体当たりとも呼べるような抱きつき方をしてきた茜。
「痛いよ! 何なの、一体」
茜が握り締める携帯が脇腹にぶつかって、ジンジンと痛い。
「何、じゃないよ! 美季、よくやった!!」
「……はい?」
わたし、何かしたっけ?
特に褒められるようなことはないのだけれど。
「昨日の今日で小林先輩とお近づきになるなんて! しかも、手まで繋いじゃってー」
見たよぉ、と地味に痛む脇腹を肘でぐりぐりしてくるものだから、本格的な痛みに変わり、涙まで浮かんでくる。
「ちょっ、痛い! 本当に痛いってば!」
ニヤつく茜を引き剥がして脇腹を擦った。
「そのことなんだけど、ちょっと困ったことになったんだよね……」
溜め息を吐き出すわたしが呟くように言うと、小動物のようにきょとんと目を丸くした茜が首を傾げた。
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