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「え!? こくは……っ」
「ちょっと、茜、声が大きいっ」
昨日、茜と別れてからと今朝の出来事を話すと、予想通りの反応が返ってきて、わたしは彼女の口を手で覆った。
ただでさえ今朝のことでクラスメートから注目を浴びているのに、これ以上は勘弁してほしい。
「ごめんごめん。ていうか、小林先輩って美季が好きなの?」
「いや、それはない。わたしのことが好きなわけじゃないからって言われてるし」
「何それ? じゃあ携帯小説とかでよくあるような、偽装彼女ってこと?」
わたしの席の前で眉間に深いシワを寄せた茜。
「偽装、彼女?」
聞き慣れない言葉に、今度はわたしが首を捻る。
「知らない? ほら、小林先輩ってモテるじゃん? 告白とかめちゃくちゃされるから、告白避けに偽物の彼女をつくるのよ」
「偽物……」
そうなのだろうか。
告白されるのが面倒で、たまたま会ったわたしを彼女にした?
「……でもさ、もしそうなら、かわいい子を選ばない? 先輩なら協力するっていう人、いっぱいいるよね?」
自分で言うのも何だけど、わたし程普通なのを選ぶ理由がわからない。ていうか、成績面も考慮すると普通以下になるんだけど。
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