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「……確かに」
「……」
うん。否定は期待してなかったけど、フォローくらいはしてほしかった。
がっくり項垂れるわたしの肩を叩く茜は、とりあえずさ、と言葉を繋げた。
「昼休みに会うんでしょ? 色々聞いてみなよ。先輩がどういうつもりなのか」
「うん。そのつもり」
好きじゃないのに付き合うなんて、今まで彼氏がいたことのないわたしには無理だ。それに付き合うならわたしを好きになってくれる人と付き合いたい。
今度こそ、しっかり話を聞いてもらわないと。
※※※※
「えっと……」
昼休み。
わたしは迷子対策として、茜に書いてもらった地図を手に中庭へ向かっていた。
教室ではもちろん、ここに来るまでに何人もの女子に声を掛けられた。問い掛けは全て同じ。
『小林聡悟と付き合ってるの?』
然程大きくはない学校だからなのか、わたしと小林先輩が一緒に登校したという噂はものすごい早さで広まったらしかった。
当然わたしとしては、ガッツリと否定をしたいところだけど、何故だかそれもできずに、曖昧に笑って逃げてきた。
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