人気者なキミ

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中庭に植わる大きな木の下。先輩はその木にもたれ掛かってパンを頬張り出したのを見て、わたしもお弁当を広げた。 ……メロンパンだ。 黙々とパンを頬張る小林先輩をチラリと盗み見る。 やんちゃしてますって見た目とは裏腹に、甘そうなメロンパンにかぶり付く姿は何だかかわいらしい。 ギャップといえばいいのだろうか。さっきの緩んだ笑顔もそうだけど、先輩の表情は意外にころころ変わる。 「何?」 うっかり盗み見が凝視になってしまっていたようで、訝しげに眉を寄せた先輩が顔を上げた。 「えっ、いえっ」 「いえ、って、そんなわけないだろ。何? メロンパンが欲しいの?」 「違います」 それだけは断じてない。きっぱりと否定をすれば、小林先輩はパックに入った牛乳をストローで吸った。 「じゃ、何?」 何、と聞かれても、わからないことだらけで何から聞けばいいのか困ってしまう。 けれど、ちゃんと話をしなきゃと決めたのだし、このまま疑問を持ったままでいるのはモヤモヤして気持ち悪い。
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