親切なキミ

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「あ、生徒手帳!」 途方に暮れかけた時、生徒手帳に校内案内図が載っていることを思い出して、一筋の光が見えたことに安堵した。 「これで教室に帰れ……」 衣替えをしたばかりの淡いブルーのシャツについてる胸ポケットを探っても、グレーのスカートのポケットを探っても何も入っていない。空っぽだ。 「嘘だぁ……」 手帳どころか、携帯すらも持っていないなんて。今日は厄日なのだろうか。 「お腹すいた……」 早く教室に戻らないと、お昼休みも終わってしまう。今日のお弁当は、エビフライが入っているというのに。 ていうか、この辺りは人がいなさすぎじゃない? 普通、学校の昼休みって、もっと人通りがあるものだと思うんだけど。 「あーっ、ここどこよ!」 教室に帰れないことと、空腹が相まって何だかイライラしてきた。 わたしはご飯の時間が何よりも好きなのに。 「……っくりしたぁ」
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