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「ていうか、先生は何でここにいるんですか?」
いつまでも隣にいられるのは気まずい。そんな意味も込めて尋ねてみれば、間髪置かずに先生は口を開く。
「何でって言われても、一応顧問だからね。様子見くらいはしとかないと」
「ねぇ、ミィと話すのやめてくんない?」
「へっ!?」
突然伸びてきた腕がわたしを立ち上がらせて、そのままお日様みたいな暖かい香りのする何かに包まれた。
それが小林先輩の腕の中だと気づいた途端、わたしの顔は火が点いたみたいに熱くなる。
「ちょっ、先輩! 放してくださいっ」
「何で?」
「な、何でじゃありません!」
もがけばもがく程、肩にまわる腕に力が込められる。
これは絶対に面白がっているに違いない。
「はいはい。失礼しました。河瀬見てると、からかいたくなるんだよね。何でだろうね……聡悟」
は? 何それ。
わたしを見てるとからかいたくなるって、わたしを何だと思っているんだ。
そもそも、教師にあるまじき発言じゃなかろうか。
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