真面目なキミ

4/15
前へ
/571ページ
次へ
「ていうか、先生は何でここにいるんですか?」 いつまでも隣にいられるのは気まずい。そんな意味も込めて尋ねてみれば、間髪置かずに先生は口を開く。 「何でって言われても、一応顧問だからね。様子見くらいはしとかないと」 「ねぇ、ミィと話すのやめてくんない?」 「へっ!?」 突然伸びてきた腕がわたしを立ち上がらせて、そのままお日様みたいな暖かい香りのする何かに包まれた。 それが小林先輩の腕の中だと気づいた途端、わたしの顔は火が点いたみたいに熱くなる。 「ちょっ、先輩! 放してくださいっ」 「何で?」 「な、何でじゃありません!」 もがけばもがく程、肩にまわる腕に力が込められる。 これは絶対に面白がっているに違いない。 「はいはい。失礼しました。河瀬見てると、からかいたくなるんだよね。何でだろうね……聡悟」 は? 何それ。 わたしを見てるとからかいたくなるって、わたしを何だと思っているんだ。 そもそも、教師にあるまじき発言じゃなかろうか。
/571ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10494人が本棚に入れています
本棚に追加