真面目なキミ

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そうやってぼんやりと弓道場を眺めていると、カラカラと音をたてて開いた扉から、制服姿になった小林先輩が顔を出した。 「悪い、お待たせ……って、梶谷は?」 「帰りました。戸締まりよろしくって」 「はぁ? 一体何しに来たんだよ」 ダルそうにそう言いつつも、小林先輩は更衣室やら弓道場の窓の鍵をひとつずつ施錠していくあたり、真面目だと思う。 というか、見た目と中身がとことん一致しない人なのだ。初対面の昨日も、見知らぬわたしを教室まで連れていってくれたり、お昼休みだって、陽射しと木の葉の影が程好く混ざり合った木の下を選んでくれたり。待っていたわたしに、何度も『悪い』を繰り返したり。 この人と一緒にいてもいいかもしれないと思ったのも、わたし自身が無意識のうちにそんなさりげない気遣いを感じ取っていたからなのかもしれない。 「ミィ、門限は?」 不意に視界いっぱいに現れた整った小林先輩の顔に驚いて一歩後ずさる。 「連絡を入れれば、特にありませんけど」 「そ。じゃあ、もうちょっと付き合ってくれる?」 ちゃんと送るから、とわたしの動揺なんか気にもしない先輩に頷いてみせた。
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