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うっかり溢した言葉に、はっと我に返ると、今度は先輩が呆気にとられた表情でわたしを見下ろしていた。
「ミィの中の俺のイメージってどんな?」
「どんなって……」
唐突な質問に思考をフル回転させてみる。
第一印象で言わせてもらうならば、『怖い』だ。金髪はもちろん、たくさんのピアスをつけてる人なんてわたしの周りにはいなかったし、そのブルーグレーの瞳が冷たく見えたのも事実で。
けれど、今日、そうじゃないんだってことを知った。
陽に当たった金髪は綺麗だってこと。ピアスは見てると痛そうで直視できないけど、実は時々悲しげな瞳ををするということ。しかも気遣い屋だし、甘いものが好きだったり、それに……。
「意外性……満載?」
「……それ、褒めてんの?」
一応褒め言葉のつもりだったんだけど、小林先輩にはそうは聞こえなかったらしい。少しだけ眉を寄せて何か考える素振りを見せた後、まぁいっか、と呟いて横目でわたしを見た。
わたしとは全く違う大きな手。長い指に骨張った感触は間違いなく男の人独特のものなのだろうけれど、何故かちっともドキドキしない。
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