疑心暗鬼なキミ

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どう考えても笑う空気じゃない筈だ、と突然のことに呆気にとられる俺をおいて篤史は肩を震わせ続ける。 篤史がおかしくなった。 勉強のしすぎか、はたまた何か病気なのではないか。 そう疑ってしまいそうになる程、目の前で腹を抱える篤史の姿は珍しい。 ……じゃなくて! 「篤史! 何笑ってんだよ」 こっちは真面目に聞いているというのに。 肩を掴んでこちらを向かせると、普段は何を考えているのか読み取りにくい表情がこれでもかという程緩んでいて。 目が合えばまた吹き出す始末。 「わ、笑いすぎだろっ!」 「お前いい加減学習せえよ。毎回毎回同じ手に引っ掛かりよって」 「うるさいっ。……って、何?」 「あれでほんまに信じるとは思わへんかったわ」 「ちょっと待て。お前さっきから何言ってんの?」 学習とか引っ掛かるとか、情報処理しきれない脳内はこんがらがるばかり。 笑いすぎから脱力してソファに寝転がった篤史を見下ろせば、ヤツは不敵に口角を上げた。 「お前、あれがキスに見えたんやろ?」
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