疑心暗鬼なキミ

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「何なんだよ、お前は」 呆れて脱力して。 その場に座り込めば、込み上げるのは早とちりをしたという恥ずかしさ。 それでも羞恥を上回るのは、何もなかったんだという安堵だった。 「どうしてあんなことしたんだよ。冗談にも程があるだろ」 さっきの『何故』とは違う意味で尋ねると、すでに笑みを引っ込めた篤史からは予想通りの答えが返ってきた。 ウジウジ悩む俺をちょっと挑発して、さっさと行動させるつもりだった、と。 だが、篤史の想像以上にショックを受けた俺は篤史の望む方向とは逆に、彼女から引くことを選んでしまった。 「何が尽力に感謝しろだよ。お前があんなことしなきゃ、こんがらがらなかったのに」 溜め息と共に吐き出せば、肩にどっと疲れがのし掛かる。 「せやから責任感じてフォローやらに回ったんやろ。そもそもあれがきっかけで聡悟も考えが変わったんと違うんか? その髪も目も、ピアスを外したんもお前ん中で何か変わったからなんやろ? なら結果オーライやな」 「何が結果オーライだ」 篤史からは反省の色を見せる気配すら感じない。悪びれるどころかふてぶてしい態度をとられ、もう怒る気力すらなくなってしまう。 こんがらがったのは確かだが、篤史のおかげで美季に歩み寄ることができたこともまた事実だったから。
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