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「ねぇ。無視すんのやめてくれる? 見てわかる通り、俺は忙しいんだよね」
「はいっ。えっと……あの……何でしたっけ?」
しまった。見た目のインパクトで、何を言われたか忘れてしまった。
そろりと目線を戻すと、それはそれは残念なものを見るような目でわたしを見下ろしていらっしゃる。
「……もしかして、残念な子?」
憐れむ。
それを表情にしたら、きっとこんな顔になるんだろう。
ていうか、失礼以外の何者でもないよね。
「まぁいいや。ちょっと待ってて」
ちょっとだけムッとしたわたしの返事を聞かずに、どこかの掃除中っぽいその人は走り出してしまった。
若干バケツの水が溢れてるのは見ないふりをしておこう。
しかし昼休み中に掃除とは変わった人だ。どこを掃除してるのかは知らないけれど、あの気合いの入った姿は学校ではなかなか見られるものじゃない。
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