無防備なキミ

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まただ……。 実はわたしには、気になることがある。 小林先輩と付き合うことになって、偶然校舎内で会うと、いつも先輩と一緒にいる友達が何だか複雑そうな顔を見せるのだ。もちろん、今も。すれ違い様に、何か言いたげな視線を向けられた。 最初は気のせいかと思った。だけど、それが三度目、四度目になってくると、さすがにわたしでも変だなと気付くわけで。 ある日、思い切って先輩に聞いてみたのだけれど、気のせいだろ、と一言で打ち切られてしまった。 そう思えないから聞いてるのに。 どうしてか少しだけ、胸がチクリと痛んだ。 「美季、早く着替えないと次の授業始まるよ」 「あ、うん。ごめん」 待っていてくれた茜に肩を叩かれて、我に返った。 とうに先輩達の姿は見えなくなっていて、毎日降り続く雨の向こうにバスケットボールが跳ねる音が聞こえてくるだけ。 先輩がくれたストラップの黒猫をキュッと握り締めて、わたしと茜は教室へと駆け出した。
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