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暫くそうして寝顔を眺めていると、普段使わない頭を使ったからか、それとも気持ち良さげに先輩が寝ていたからなのか、わたしまで眠くなってきてしまった。
もうすぐ下校時刻だし、まだ宿題も終わっていないのだから寝てはいけない。そう思うのに、わたしの意思とは反対に瞼はゆっくりと落ちていく。
目、開けなきゃ……。
遠くなりそうな意識を必死に繋ぎ止める。
「……ミィ?」
ああ、先輩起きたんだ。
わたしも起きないと。
そう思えば思う程、意識は睡魔に手を引かれていく気がして、瞼が持ち上がらない。
「……み……」
ほら、先輩が何か言ってる。目を開けて、何ですか、って聞かないと。
髪に柔らかな感触を受けて、撫でられているんだと理解した。それが気持ち良くて、ますます眠気が煽られてしまう。
「……好きだよ」
え……?
聞き間違いかと思ったその瞬間、唇に触れたナニか。
これは夢?
だってあり得ない。
先輩がわたしを好きだなんて。
先輩がわたしにキスをするなんて……あり得ない。
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