親切なキミ

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振り返ったそこにいたのは、太陽の光で輝く金髪な人。 確かに服装はさっきの掃除の人そのものだけど、髪は金色じゃなかった。 ……あ、タオル巻いてたから見えなかったのか。 「お腹空きすぎた? ん、これ食べれる?」 そう言ってジャージのポケットから取り出されたのは板ガム。 「ありがとうございます……」 ブルーと銀色の包み紙でくるまれたそれを受け取ると、仄かに鼻を掠めるミントの香り。 ……変な人。 めちゃくちゃチャラそうな見た目なのに、真面目に掃除してたり。不機嫌そうにしてたかと思ったら、こうしてガムをくれたりする。 人は見かけによらないっていうのは本当らしい。 「で? どこに行きたいの?」 ジャージのポケットに両手を収めて首を傾げるその人の視線は、わたしの胸元のエンブレムバッジに止まった。 「エンブレムが赤ってことは、一年? 教室でいいの?」 そう尋ねられて、空腹も限界なわたしは素直にコクコクと頷いた。
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