1章†…予知夢…†

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  †  †  † 社会人や、学生達の行き帰りを見守るかのように、そっと優しく見下ろしているこの桜は一体いつからあるのだろうか? 夢見はそんなことを呆然と思いながら、七海達を連れて常磐第二大橋の桜の前に来ていた。 …と、言っても実際は学校から自宅への帰路はここの道を通るため、必然的に辿り着くのだが 「で、一条さん、今朝話そうとしていたことは一体何のことなんだ?」 と、蒼空はまるでこの場所が関係していると、知っていたかのようなタイミングで、夢見に問い掛けた。 数瞬の沈黙の後、夢見は半ば諦めたように話しだした。 「今朝、夢を視たの」 「夢?夢なら誰でも見るでしょ?夢見ちゃんも変なこと言うねぇ」 「見たんじゃなくて、視たのよ、今日の夢は予知夢だと断言してもいいわ」 「なるほど…夢ってそっちのことだったんだね」 「予知夢ねぇ…で、今回はどんな夢を視たんだ?」 実は過去に幾度か、予知夢を視てきたことを知っている蒼空達は、まるでマニュアル通りのように応えていた。
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