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独り暮らしの女子高生が暮らすにはあまりにも広く、そして、あまりにも飾り気のないリビングの一角にあるダイニングテーブル用の椅子に腰掛ける七海
一方の夢見はこれまた飾り気のないティーカップに、二人分の紅茶を注いでいた。
「あんたさ、たまに朝早くに来るけど迷惑とか考えないわけ?」
「うっ…ゆ、夢見ちゃん一人で寂しいかと思って…」
と七海が言うと同時に、彼女の目の前に出て来る香り豊かな紅茶
「あたしが寂しいとか思うと思ってんの?何年一人で暮らしてると思ってんのよ…今更気にしないけどね」
俯き加減で目の前に出てきた紅茶を眺めながら聞いていた七海は最後の一言で、明らかに嬉しそうに顔をあげた。
「じゃ、じゃぁまた来てもいいよね?」
「好きにしたらいいわ。ただ、今後来るならメールをいれてからにして、でないとあたし出ないから」
「う、うん…気を付ける」
素っ気なく言う夢見だが、実際のところはただ素直に言うのが恥ずかしいからと言う気持ちがあるからだ。
そしてふと思い出したかのように壁掛け時計を見ると、夢見は溜め息をつく
行きたくない学校に行かなければいけない時間になっていたからである。
「七海、早くそれ飲んで学校行くわよ」
「え?…うわぁっ!もうこんな時間!?ちょ、ちょっと待って!」
既に通学用鞄を手にし、歩き始めていた夢見に向かって言うと、七海は急いで紅茶を飲み干し、夢見の後を追った。
多少の火傷を舌に残しながら
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