イヴにときめいて

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 毎月、私が買うファッション誌は12月だからなのか特集が、  【クリスマスにプロポーズ】  彼と同棲を始めてもう5年が過ぎた。  大学の同期の私達は、気付けばアラサーと呼ばれる世代になっていた。  「クリスマスにプロポーズっていいな」そう呟いた私に、  「女ってそう言うの好きだよな。俺にはムリ」  そんな冷たい言葉が降ってきた。  別に期待なんてしてない。  だけど、少しだけ沈んだ気持ちで迎えたクリスマスイヴ。  貴方がプレゼントしてくれたのは、夜景の見えるレストランでのディナーと、  『結婚しよう』  真っ赤な顔をした貴方からの言葉だった。  「こんなの絶対ムリって言ったくせに…」  零れてしまいそうな涙を必死に隠した。  「千夜子の喜ぶ顔が見たかったんだ」  私から視線を逸らした貴方を世界で一番愛しいと思った。  リビングの隅に置かれてる雑誌の特集ページに付箋が付いていた事を知るのは、ずっとずっと後の事…。    ーMerryChristmas☆彰人ー
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