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「くそっ…!早く逃げないと…早く…!」
何度立とうとしても足が震えて立つことができない。
「…早く早く…殺されちまう……!?」
そのとき、斗真は一匹の怪物と目があった。
巨大な狼のような生物。
毛並みは白銀。
赤く目を光らせている。
「やべぇ…!本当に早く逃げないと…!早く…っ!」
斗真は何度も立とうとするが、立つことができない。
その間にも白銀の狼がゆっくりと近づいてくる。
「くそっ…!どうすりゃいいんだよっ!!」
斗真は半ば諦めかけながら、もがいている。
白銀の狼の威嚇する声が聞こえてきた。
「うぅっ…殺され…!」
その時だった。
「斗真ぁぁあ!走れぇぇえ!!」
美斗の声だった。
「姉ちゃん…!」
その声を聞いた斗真は、不思議と足の震えがとまり、走り出すことができていた。
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