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「姉ちゃん…姉ちゃんっ…!」
斗真は安心のあまり、泣き出してしまっていた。
「よしよし…怖かったね…でも、斗真…まだ安心はできないよ」
「え…?」
二人が今いる位置は、斗真がいた位置と、数十メートルしか変わらない。
白銀の狼も、まだ近づいてくる。
「斗真…正面玄関まで走ろう。ここだと場所が拓けてるから…校内に入ろう。あんなでかい図体、校内でうまく動けるはずがない」
「うん…わかった。姉ちゃん、それ木刀?」
「うん。クラスメイトの剣道部で、これ、竹刀と一緒に持ってきてるの知ってたから…ちょっと拝借した」
「そっか…」
正面玄関まで約50メートル。
「よし…いくぞ斗真!」
「あぁ!」
二人は白銀の狼に背を向け、正面玄関に向かって走り出した。
「グルルァアア!!」
それと同時に、白銀の狼も走り出した。
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