白銀の狼

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斗真はとにかく走った。 泣きながら走った。 壁に何度もぶつかった。 途中、幾度も転倒した。 階段もかけ上がった。 階段でも躓いた。 それでも走った。 「姉ちゃん…!姉ちゃん…!」 泣きじゃくりながら何度も美斗を呼んだ。 生きていることを信じて何度も。 「くそっ…!いっつも守られてばっかりじゃねぇか…」 「姉ちゃんは一人で頑張ってる…」 「俺も…いかなきゃ…!」 斗真は美斗のことを助けにいく決意をした。 目に入ったのは『家庭科室』 「あそこなら…」 家庭科室の扉を力任せに開け、中に入り、家庭科室の調理用品を探る。 「……よし!」 斗真の手には包丁が握られている。 「姉ちゃん!」 また斗真は美斗のことを呼びながら走り出す。 涙の溜まった目ではなく、決意をした目で走り出す。
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