10人が本棚に入れています
本棚に追加
「キレイだね」
彼は黙ったまま空を見上げている。
「あ、また上がった」
花火は空に大きく開いては一瞬で消えてゆく。
「テッちゃん。花火って何かに似てない?」
「ん?何だろ…」
「流れ星だよ」
彼は優しい笑顔を私に見せてくれた。
「流れ星かー。願い事してみたら?」
「うん。叶うかな?」
「きっと叶うよ」
彼の言葉と同時に上がった花火に願い事をした。
「…アオイ」
そっと差し出された右手をキュッと握った。
《叶ったよ》
私は心の中で呟いた。
―この花火がキラキラと流れ落ちたらテッちゃんと手を繋げますように―
最初のコメントを投稿しよう!