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右足のホールドは外れそうにない。
このままでは身動きが取れない。
仕方ない…起こすか。
あと変な夢みてるようだし。
「おい!遥?」
ペチペチと頬を軽く叩く。
「う…うん…兄さんくすぐったいですよ」
寝言なのか…寝ぼけてるのか、どっちなんだ。
まぶたが開いてないからまだ寝ているのだろうけど。
「おーい」
頬をつねってみる。
「う…うん…」
少しづつ、頬をつねる力を強くしていく。
すると、次第に遥の表情が歪んできた。
「あ…う…痛いですよ…でも少し良いかも」
少しエヘエヘと笑いながら言う遥。
何かに目覚めてしまったんだろうか…。
「遥!いい加減起きろ!」
遥の右肩左肩に手をそえて揺らす。
「あ…あう…あれ?兄さん?」
空ろな目でこちらを見てくる。
ようやく起きたか。
「え…?兄さんと同じベッド…しかも今、兄さんが私に覆いかぶさっている」
「おーい、遥」
名前を呼ぶが反応がない。
何か大変な自己解釈をしようとしているような。
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