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「世の中の流れに流されてはダメなんですよ?」
得意げな顔になりながら言う。
「流れにまったく乗らないのも…どうかと思うが?」
「兄さんのイジワル…」
不満げに答える遥。
ホントに表情がコロコロ変わる奴だな。
「正論だ…」
「もう…あ!お父さん達からエアーメール届いてますよ?」
話し急にすり替えられたような気がしたが…まあ今日はこれぐらいにしとくか。
「父さん達今どこにいるんだ?」
「えっと…ヴェネツィア」
「へ?」
ヴェネツィアて…あのヴェネツィア?
水の都で有名な?
「イタリアのヴェネツィアですよ?」
遥はエアーメールの封筒を渡してきた。
それを受け取り中身を取り出しながら。
「いやそれはわかるんだが…なぜ?」
「お父さんの絵の展覧会があるらしいですよ」
まじかよ…。
俺達の父親はそこそこ有名な画家らしい。
詳しく知らないのは、俺達は父さんが描いた絵を見たことがない。
父さん曰く…見られるのが恥ずかしいらしい。
画家として世界を転々としてる為、家に帰ってくるのも数年に数えるほどだ。
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