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ミイは、あくびをしながら話しかける俺をぶすっとした顔で見ていた。
そして……
「私、東京の大学には行かない」
また脈絡もなく、突拍子もないことを言いだした。
「……なんで? 東京の音大を出て、音楽を学ぶことは夢の一つだろ」
「そうだけど……」
「だったら、そう簡単に諦めるようなこと言うなよ」
「だって……」
「だって?」
俺は、ここでようやくあることに気が付く。
「東京にはシンちゃんがいないからだよ!」
……ミイの目にいっぱいの涙が溜まっていたことに。
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