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「なんで?」
「……ミイの歌が、島中に届くように」
「……シンちゃん」
ほどなくして、背中の向こうからきれいな歌声が聞こえる。
透明感があって、聴いている人に安らぎを与える声。
歌うことを心から楽しんでいることが伝わってくる。
……俺は昔から思っていたんだ。
ミイの歌声をたくさんの人に聞いてほしいって。
たくさんの人の心に届けたいって。
俺の大好きな人の歌声はこんなに綺麗なんだよって、世界中の人に自慢したいんだ。
どうか、この想いが君に届きますように。
そう願いながら俺は、自転車を走らせ続けた……――
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