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私と君のお気に入りの場所は、駅近くの大きな公園。
犬と遊ぶ人達を眺めながら、ベンチで何でもないことを話していた。
将来、犬を買いたいね。
その時は、ここみたいに大きな公園の近くに住もう。
……なんて、夢みたいな事ばかり語り合って。
麗らかな春も、
陽射しの強い夏も、
落ち葉が舞う秋も、
いつもこの公園にいたね。
見慣れたこの景色も、
座り慣れたこのベンチも、
当たり前だと思い始めた二人の時間も、
尊いものだと知ったのは、
貴方を失った冬でした。
もうきっと、あの公園に行くことはない。
だからこそ、あの時もっと目に焼き付けておけばよかった。
貴方と見た、あのベンチからの風景を。
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