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なれない街。
この歳になって初めてスーパーへ買い物に行く。
今日のご飯は何にしよう。
なかなか思いつかなくて、売り場の前を行ったりきたり。
何も出来ない自分
何も知らない自分
何も気づかなかった自分に 泣きそうになった。
帰り道。
スーパーの袋を持ちながら、
声を聞きたいあの人に電話をかけた。
「そっちは晴れてるでしょう?」
「こっちも綺麗な夕焼けが見えるのよ」
そう言われて空を見上げる。
綺麗な夕焼け。
うつむいてばかりで気づかなかった。
同じ夕焼けを、私達は見ている。
遠く離れていても、つながっている。
それだけで安心できる自分がいた。
「ありがとう、お母さん。」
自然と口からこぼれた、
大好きな人への感謝の言葉だった。
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