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アスターは、シルヴィアの身体をその場に下ろすと、憎悪の瞳で見つめてくるミリに対して、頭を下げた。
「すまなかった」
アービスもモシャスもシルヴィアも頭を下げられているミリでさえも、彼の行動に驚き、目を見開いていた。
「なにを……いまさら」
驚きつつも静かにもらすミリに、顔を上げたアスターが己の真情を吐露する。
「殺すつもりはなかった」
「でも、殺した。私のたった一人の肉親をあなたが奪い去ったのよ!」
ミリの叫びを、黙って聞くアスター。
だが、彼は、強い瞳をたたえ、真実を告げた。
「そうだな。これは言い訳だな。ミラは、自分の信念を貫き、俺を殺そうと襲い掛かってきた。俺は、今まで死のうと思ったことはない。だから、生きるためにミラを殺した。後悔は……無い」
「なんですって! じゃあ、どうして、謝ったりなんかするのよ!」
何かを振り切るかのように、一度瞬きをすると、一気に言い放った。
「お前たち姉妹の一途さにつけこみ、操り、利用した人間が、俺の母親だからだ」
「!」
ミリの顔が強張っていく。
「お前の人生を狂わせた責任は、いつまでも母上との関係を断ち切れず放置し続けてきた俺にある。それに関してはすまないと思っている」
身体がぶるぶると震え、動揺を隠せないでいるミリがアスターに尋ねる。
「オルスティア様をどうするつもり」
その問いにアスターは眉根を寄せ、口を開いた。
「それは……」
そのとき、雲間から降り注いだ月光がアスターの背後で光る凶器を映し出した。
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