青紫蘇

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父が亡くなって季節が一巡りしたころ… 母は、いきなりばあちゃんに籍を抜かさせて欲しい、と言ったそうだ。 私は幼かったので、母がなぜそのようなことを言ったのかは分からないし、今は今で、その時のことを考えはしないので、結局母の気持ちは分からないままだが、 その時の母のしっかりとした眼や、ギユッと握った拳は、今でも鮮明に眼の裏に浮かぶ。 ばあちゃんは、当然の如く拒否した。孫と離れるのが、あんたと離れるのが、どんなに辛いか― 今よりも少ない皺を刻んだ顔に、涙を流しながら、ばあちゃんは母に言っていた。 と、まぁ、そんな昔もあり…とにかく、二人は仲が良いのだ。
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