青紫蘇

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天ぷらもあげ、夕飯を運び出すと、母が食器を並べ出す。 ばあちゃんは、よろけながら立ち上がり、お茶を片付ける。 そうこうしている間に、兄が仕事から帰ってきた。 デザイン事務所で働く兄は、帰宅時間が不定期だ。 私より早く帰って、夕飯を作っているときもあれば、女三人が寝静まった頃に帰ってくるときもある。 「お帰り。今日早いんだね、お疲れ。」 軽く一言かけ、用意してあった兄の分の食事を冷蔵庫から出す。 「やっと、デカイ仕事が終わりかけたから。明後日はもっと帰り早いかも。」 そう返事しながら、私が扉を閉めた冷蔵庫を再び開け、麦茶を出して飲み干す。 みんなが食卓につき、ようやく夕飯を食べる。 やっぱり、人が集まって食事をするのは良いなぁ。いつもより、味をしっかり感じられるし、すごく満たされた、ホカホカした気持ちになる。
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