弐 為

3/8
前へ
/281ページ
次へ
目を覚ますと暗い牢屋だった。 相為はまだ起きていない。 起きたら大変だろうな。 だって相為は俺から少し離れた処にいるから人が来たら気が気でないだろう。 「片方は気がついたか。」 「ねぇ、此処何処?」 「壬生浪士組だ。 まぁ異人に言ってもわからないな。」 「残念だけど俺達異人じゃない。 日本人だよ。」 恪為は冷静だった。 ただ興味がないようだ。 「あのさ、俺は別にいいけど相為の縄はとってくれない?」 「無理な話だな。」 「…恪為?」 「相為、此方。」 相為は恪為が見えない方を向いて眠っていた。 相為は声を聞き聞こえた方を向く。 恪為が見えたと同時に牢屋にいたもう一人も見える。 相為は完璧に黙ってしまった。 「両方起きたことだし聞く。 お前らなにもんだ。」 「人間。」 「そういう意味じゃねぇ!! 名前を聞いてんだ。」 「芹沢恪為。 あっちが相為。 ついでに言うと双子。」 「芹沢…。」 その男は何かを考え始めた。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

500人が本棚に入れています
本棚に追加