みどりの夢

2/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
風さわやかな5月、川沿いの土手を歩いていたら みどりちゃんが自転車で走ってきて。 ふりむいた僕は、なぜかみどりちゃんの自転車にひかれちゃいました。 ころんで、一緒に土手の草。 白いシャツにひらひらした長い紺のスカートのみどりちゃん。 自転車ごと僕の上にのっかったので ちょっと重いけど、でもなんかどきどき。 甘い香りの長い髪は、さらさら。 ちょっといつもうつむきかげんのかわいい一重のまぶたは ながくカールされた前髪に隠れてるのですけど いま、とてもちかくにあって。 どきどき。 おれちゃうくらいほそい腕も、僕にのっかってます。 いたいんだけど、でもしあわせなので 僕はずっとこのままでもいいな、と思って そのままにしていました。 「きゃ」 気づいたみどりちゃんは、飛び退きます。 びっくりしたのかな。 ごめんなさい、だいじょうぶですか。 優しげなかわいい声で、そう言われると どこも痛くないよ、って言っちゃいます。 「あ」 僕のかかとがすりむけてるのに、みどりちゃんは気づきます。 「ごめんなさい、だいじょうぶですか」って 僕のかかとの傷を、手当してくれます。 ちょっと大袈裟だけど、でも そんなふうに優しいみどりちゃん、とってもかわいいなって 思うと、みどりちゃんはちょっとはにかんだ笑顔になって ひとえまぶたで、白い八重歯があって。 ちょっと茶色っぽい素直な長い髪。 とっても細くて。 さっきのっかった感じだと、とっても軽かった。 でも、なんかやわらかくて それを思い出すと、どきどきしちゃう僕でした。 みどりちゃんはいつでも、朝、階段のとこで逢います。 どうしてだかわからないけど、いつもそこで逢うと 「おはようございます」って 白い頬がうすももいろになってて、とってもかわいい。 最初あった頃は、前髪がまっすぐぱっつんで なんか、ちっちゃいこみたいだった。 最近は、すこし大人っぽくしたいのか のばした前髪を、左にカールして流して。 でも、あどけない表情はそのままなので とっても可愛く見えます。いいな、なんて にこにこして見てると、みどりちゃんも笑ってくれます。 そうすると、なんとなくいいきもちです。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!