17739人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたんだエレナ?あっ、見合いについてか?」
「あっ…ううん。実はその、ルークの事なの」
「ルークか…やっぱり言い過ぎたかな」
「多分ね、アンタさ…留学する前にルークと話を付けて来なさいよ。
ルークはいつも裏山の頂上で訓練してるから」
「分かった。ありがとな」
彼は彼女に礼を言うと扉を開き自室に入って行った。
扉が閉まり廊下一帯が静寂に支配される中、一人廊下には残された彼女は俯いていた。
そんな彼女の頬から流れた雫が床に染み込む。
「さよなら…私の初恋」
この日、一人の少女の恋が終わった。
†
――当主室
エレナの父、レクセルは椅子に座り水晶からある報告を受けていた。
『――!!―――!』
「分かった。直ぐに私とエバンも向かう。それまで耐えてくれ。
アニエス、彼に伝えてくれ」
彼は立ち上がると自身の装備を整えていった。そんな彼に連絡を終えた妻は悲しそうな顔をした。
「明日はあの子の誕生日なのに…」
そんな彼女に彼は優しい笑顔で答えた。
「大丈夫だ。直ぐに終わらせて帰ってくる」
その後、レクセル・エバンは屋敷を出発。国境線に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!