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クロムはふと目を覚ますと直ぐに窓に向かい町を眺めた。
妙な胸騒ぎがする。
自分が今まで積み重ねて来た直感が何かを警告している。
胸騒ぎがした直後、町に悲鳴が響き渡った。
「裏山の地区からか!」
彼は舌打ちをすると部屋に置いてある何時もの防具を付ける。
そして大剣を背中に括り付けると準備を待っていたウルと共に飛び出した。
――裏山付近
裏山の入口から三、四十m離れた場所で町の警備隊は巨大な四角形の盾を横一列に並べ、バリケードを作っていた。
盾から少しした所には何人もの警備隊が矢に串刺しにされ絶命している。
彼は警備隊の一人に屋敷で働いている初老の人物を発見。彼に現状を聞いてみた。
「裏山から無差別に矢が放たれ警備兵が五人、そして…市民が三人です。
敵の矢は射程が長く正確な為、これ以上近付くのは……」
苦虫を噛み潰した様な顔で報告する初老の男性に彼はある事を聞いた。
「三人の犠牲者の中に…子供はいたか?」
初老の男性は手を強く握り締め悔しそうに言った。
「はい…申し訳ない我々が不甲斐ばかりにッ…!」
男性の答えにクロムはしばらく黙ると彼はウルに此処で死守する様に命令した。
また男性にある物を渡した。
「これを投げてくれ。後は俺が殺る」
それだけ言うと彼はバリケードの中央を開けさせ、両手から夢幻を出現させる。
想像するは『運命に抗おう』としたゴゥレム。
――夢幻『多重装甲・デルフィング』『大盾』
黒い六角形の夢幻は水の様に形を自由自在に変え彼を包み込み、鎧と盾に変形。
角ばった黒い鎧が足の爪先まで覆い、頭部の先端に折れた角が、また鎧の両腕には重厚な盾が形成される。
「さぁ…貴様等を――」
彼は鎧の隙間から見える真紅の瞳が裏山に潜む敵を睨み付ける。
「――轢き殺す」
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