別れる事になりました

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  ――エルフ陣営 エルフ達は総勢二十人弱の規模。各員は木の上と下で構えている。 彼等に指示を送る指揮官は三人。 一人はクリーム色のローブを羽織った初老のエルフ。他の二人はまだ幼さが残る男女。 顔の出で立ちからから血の繋がりがある事が分かる。 「アラル隊長。各員の配置、終わりました」 「パパ。゛精霊゛さんに聞いたけど敵兵は前以外はいないよ?」 彼は自分の子供達が軍属になる事を今でも反対している。 「…作戦中にその言葉は謹め。戦場で弱みを見せるな、良いなグレース?」 父親の警告に気を落としながら娘は頷いた。 「でも、どうして隊長やグレースが最前線に? 二人は国で三人しかいない加護者だ。隊長は中位、妹は下位で戦力なら隊長だけでいいのに」 その質問に彼は不快な表情をした。 「これは我々の独断だ。角あり達を納得させるにはこの国に奇襲を仕掛ければ奴らは後戻り出来ない。 この町で大勢の死傷者を出せば我が国は正式に開戦宣言を出すだろう」 「様は人間を倒せば良いのね?だったら簡単よ。筋力は弱いけど魔力や弓矢なら人間達より強い! それにこれは私達エルフの聖戦なんだから!」 自信満々な娘に彼は心中不快でしかなかった。 彼はこの町民虐殺作戦の考えに否定的だ。 またエルフの首謀者達は西陣営の支援を当てにし過ぎだ。 彼等にとって我々は西対東の代理戦争の道具でしかないのだ。 それが何故わからないのか、彼には理解出来なかった。 (双方共に利用しているつもりなのだろうな…) 国の行く末を考えていると部下から敵に動きがあったと報告を受けた。 「各自、戦闘準備に入れ!敵を迎撃後、攻め返す!」 「よし、行くわよマニラ!」 息子であるライルが部下に命令を下し、娘は数少ない女性兵士と共に配置に付く。
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