別れる事になりました

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  (グレース……) 彼は配置に付いた娘を見て悲しいそうにした。 彼女は…… ――これは私達エルフの聖戦 だと言った。 (戦争に聖戦など無い…戦争は最低限のルールがある世界が認めた殺し合いだ) ――戦争に聖も邪も無い… 「ライルはともかく…グレースは来るべきではなかった。 済まないマリア…私は父親失格の様だ」 彼はこの場にいない妻に数秒間懺悔すると、彼は今やるべき事に目を向ける。 腰から(やじり)の部分に魔石を使用。鋼鉄すら撃ち抜く矢を三本取り出し弓に掛ける。 「全員構え!!」 彼の命令に従い全員が構える。 矢の先端はバリケードの中心に佇む黒い鎧武者。 その姿を見た彼は目を見開いた。 (黒い鎧だと…!? まさか悪魔実験の時の少年が何故此処に!?) 彼が驚くなか、鎧武者は全身を武装しているとは思えない程の速度で走り出す。 その速さは並の魔法騎士ですら追い付かない程だ。 「くッ……!全員う――」 彼が命令を下そうてした直後、激しい光に包まれた。 最初に現状を把握したのはやはりアラルであった。 「閃光弾ッ!グレース、精霊から敵の現在地を聞き出せ!!」 精霊加護者には三つのタイプがある。 一つ目は精霊の声を聞き意思疎通でき、知りたい人物の居場所を探る事が出来る者。 二つ目は精霊の力を精神力を代償に力の一部を借りる者。 三つ目は上の力全てを持ち精霊を使役する者。 そしてグレースは感知に長けている。 彼女は返事をすると精霊から答えを聞き、叫んだ。 「上よパパ!!」 その直後、頭上から鎧武者が落ちて来た。 落下地点にいた一人のエルフが下敷きになり圧死した。 「……ヒッ!」 彼女は目の前の光景に悲鳴を上げた。悲鳴の原因を作った鎧武者の真紅の瞳がエルフ達を捉える。 「――全員轢き殺す」 殺気を含んだ低い声はエルフ達に下された死刑宣告であった。
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