別れる事になりました

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  「せめて楽に殺してやる…」 ゆっくりと近付きながから彼は呟くと…… 「私の息子に何をする」 背後から身震いする声が聞こえた。 「ーー!」 彼は素早く振り向き様に轟音をたてながら盾を振るう。 しかしアラルは屈み込む事で盾を避けると至近距離で三本の矢を放つ。 矢は鈍い音をたて弾かれたが鎧にへこみが刻まれた。 「こいつ……!」 背中に備え付けた大剣を握り何回も斬り付けるが、アラルには当たらない。 (チッ……この装備じゃ大雑把な攻撃しか出来ない) 彼等が戦っている中に残ったエルフ達がライルを助け出す。 それを黙って見ている訳ではないクロムは起爆式の式紙を山に放った。 しばらくすると至る所から悲鳴が山中に響き渡る。 「ーーッ!貴様……!」 「まさか先に仕掛けておいて見逃して貰えるとでも思ったか、耳なが?」 「くっ…!」 アラルは腰から矢を三本取り出す。瞬間、クロムは跳び出した。 弓を引いてる時間を与える気など微塵も無い。魔法は盾で防ぎ、相手に重い一撃を叩き込めば終わる。 「私を甘く見るなよ」 アラルは矢を弓に掛けるのではなく、投擲した。 矢はそこらの弓兵と同等の速さでクロムに向かう。 首を横に目一杯曲げ矢を何とか避けると後ろに飛んだ。 (こいつ…鎧の弱点である目を的確に狙いやがった。しかも三本全て!) 背中に嫌な汗が流れる。 (やっぱり夢幻を解かないと攻撃は当たらない。 全く、勘弁して欲しいぜ…) 夢幻を解き鎧を消すと彼は大剣を握り締めアラルに向かう。その速さは鎧時とは比べ程にもならない。 「――木の精霊よ」 アラルが近くの木に触れる。すると地面から木の根が槍の様に飛び出す。 「チッ!」 クロムは大剣を一瞬離すと地面に手を付けた。すると土でできた巨大な針が根とぶつかり相殺する。 「風よ!大地よ!」 風の塊、土の槍をクロムは風の刃と水の槍で撃ち落とす。 両者の熾烈な戦闘は互いに一歩も引かず木々を薙ぎ倒し、大地を削る。  
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