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――■■■■■■■■!!
「グレース…!?」
一言では表現できない悲しみ・怒り・憎しみが合わさった叫び声が響き渡る。
娘の叫び声に動揺した隙を見逃さなかったクロムは脚の筋肉を最大限に使い、一直線に跳ぶ。
大剣を盾に。大剣さえ持てば勝負は決まる。
「一撃で決める」
アラルも最後の一撃に己の命運を掛ける。彼は腰から今までとは違う矢を取り出す。
その矢は鏃が紅く、棒状の部分は金色に光り、羽は銀色に輝いていた。
彼は矢を流れる様な動作で弓に掛け、引く。また彼は精霊に働き掛け矢の威力が倍増する環境を狭い範囲だが作り上げた。
「さらばだ」
矢を放つ。矢は放たれた瞬間に精霊の力を受け爆発的な推進力を得た。矢は通り過ぎた後には真空が発生する程の威力。
その恐るべき一撃にクロムは大剣で真っ向から立ち向かい衝動する。
矢は最初は大剣に阻まれたが最初だけだった。矢は大剣を根本から破壊、威力は衰えず背後に生えた木々を一直線に薙ぎ倒していった。
(やったか……?)
煙りが立ち込める前方を食い入る様に見つめ、何時でも射てる体勢で構える。
ゆっくりと煙りが引き見えて来たのは……
砕けた大剣と防具だった。
「クッ…!しくじったか!!」
後ろに下がり辺りを見回そうとした瞬間、黒い霧が発生。霧の中から血まみれのクロムが飛び出す。
右手に持つ刀で弓を切る。
「ッ…!」
アラルは直ぐさま弓を捨て去ると矢を逆手に振り下ろす。
そんな彼にクロムは後方回転をしながら足で彼の顎を蹴り上げた。
「あがッ!?」
脳が揺れ立つことが精一杯の彼に肘打ちを叩き込みながら、近くの木に押し付けた。
「殺しはしない。精霊の加護者なら外交カードになりえるからな」
刀を首筋に押し付けながらクロムは低い声で言った。
そんな彼にアラルは手を挙げて降伏の意思を示した。
だが、彼は急に目を見開き首筋に刀が押し付けられている事すら忘れ、首から血を流しながら叫んだ。
「止せぇぇえ!グレェェエース!!」
クロムが急いで後ろを振り返る。彼の目に映ったのは短剣を握り締め、憎悪の炎を瞳に宿したグレースが飛び掛かる姿であった。
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