別れる事になりました

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  豹…いや、ジャガーが立っていたのだ。 オセはジャガーと人をかけて2で割った様な顔、その姿はまさに獣人。 全身は黄色の毛皮に覆われ背面には黒い斑紋に囲まれたオレンジ色の斑紋。 彼の元から屈強な身体は一回り大きくなり更に屈強な肉体に変わり 剛毛は鋼の如き強度を誇り爪は鋭利な刃物すら凌駕する。 「さぁ殺し合いを始めるんぞ」 彼の笑みは肉食獣の獰猛な笑みそのものだ。彼は空に獣特有の雄叫びを上げ、人外の走りでクロムに迫る。 「猫風情が調子に乗るんじゃねぇぇぞぉぉお!!」 鋭利な爪をたて迫り来るオセにこちらも鋭利な鉤爪で応戦する。 爪が甲殻を切り裂き、鉤爪もまた剛毛を切り裂く。一進一退の攻防に付近にいた兵達は両者に畏怖する。 間違いなく今、自分達が介入すれば一秒も立たずに肉塊に変わり果てるだろう。そんな激戦が目の前で繰り広げられている。 「フハハハ……フハハハハッ!! 最高だ!最高だお前!!こんな殺し合い久々…いや、初めてだ!なぁ、テメェも殺し専門の人種だろ! 違えと言わせねぇぞなぁ同類!」 鈍器の様な一撃が頬に叩き込まれる。お返しと言わんばかりに顎に拳を叩き込む。 常人なら立つ事すら出来ない一撃にオセは笑みを浮かべたまま頭突きをかます。 だがクロムも平然としたまま当て身を喰らわせ、殴り合いが始まった。 「右側の守りが甘めえぇぇぞガキィィイー!!」 右脚・右脇腹に鈍い痛みが走る。右目を失明した為、避け切れないのだ。 距離感は探知で補う。だが人間は視界に頼っている為、頭では分かっていても身体が反応出来ない。 右側だけ傷が増えていく。一撃喰らう度に身体が、骨が悲鳴を上げる。それでも彼はボロボロの身体に鞭を打つ。 後ろに守るべき者がいるから 「テメェの拳なんざ痛くもなんともねぇぇんだよォ!!」 拳を鋼鉄の様に強く握り締め溢れんばかりの咆哮と共に、相手の顔面に減り込み吹き飛んだ。 吹き飛んだオセは地面に足の爪を食い込ませブレーキを掛け、止まった。
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