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鮮血が舞い叫び声が響く。
右肩から下の部分が空を舞う。傷口が焼ける様に熱い、痛い。
傷口を押さえるが血が止まらない。目の前が薄暗くなり、寒気を感じる。
そんなクロムにオセはマカナを高く振り上げた。
――死
目の前に死が迫って来る。
自分が死んだらルークは…?
エレナは?レイは?ステラは?町の皆は?
――殺される
ダメだ。絶対にダメだ。まだアイツらは生きていきて、生き続けないとダメだ。
まだアイツらにはやるべき事があるんだ。
アイツらを生かす為なら……
――この命などくれてやる!
「ハア゛ァァァ゛アァァア!!」
魂の咆哮を上げる。彼の瞳に怖れなど無い。あるのは執念のみ。
右肩から夢幻が飛び出し腕の形を形成する。腕はマカナ――ではなく持ち手を掴み、眼前ギリギリでマカナを止めた。
「テメェ……ッ!?」
オセは彼の目を見て畏縮する。
怖れもなにも無い。決死の瞳
オセは初めて戦場で恐怖した。
「力だ…力が必要だ!選択する力!敵を討つ力!何物にも侵されない力がぁぁあ!!」
彼は叫ぶと左腕を腹に叩き込む。
「ごぱ…あッ!」
今までとは次元が違う一撃に膝を付くオセにもう一発。
「このガキィィイィ!」
オセは鋭利な爪が腹に食い込むが腹筋に力を入れられ抜け出す事が出来ない。
そんなオセにクロムは手をかざす。手の平から黒いゴルフボール程の球体が黒く放電しながら形成される。
「あぁぁぁあぁぁぁッ!!」
球体を押し付け爆発した。黒い煙りが立ち込め、オセが煙りから飛び出して来た。
身体は所々焦げ焼け、毛並みは黒ずんでいた。
「イカレ野郎が!」
毒づくオセにクロムが煙りから飛び出し彼にしがみ付いた。
クロムは悪態をつきながら剥がそうとする彼の耳を掴んだ。
「テメェッ!離せクソ野郎が!」
――あぁ、離してやるよ…
クロムは右耳を掴んだまま横に引っ張り、引きちぎった。
「ぬうあぁ゛ぁァあ゛ぁァぁあぁアぁあ!!?」
ちぎれた耳が合った場所から血が止めなく流れる。痛みは直ぐに怒りに変わる。
オセはマカナで斬り付けるより自分の手で刺し殺す事を選んだ。殺した感覚を得る為だ。
「くたばれクソガキャアァァァ!!」
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