別れる事になりました

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  迫り来る手刀にクロムは(みずか)ら飛び込んだ。 「バカが……」 手刀は腹に突き刺さる…が、クロムは気味の悪い薄ら笑いを浮かべると人差し指と中指を突き出した。 「バカはテメェだ…オセ=バルバドス!!」 二本の指を突き出す、すると黒い閃光が飛び出しオセに向かう。 「ーー!!?」 至近距離…しかも高速の攻撃だ。避けれるはずは無い……とクロムは思っていた。 だがオセは野生の本能なのか危機を身体が感じとり横にズレた事により、心臓目掛けて放った閃光は心臓から数cm離れた地点を貫いた。 「ハハハッ!ざまあみろオセェエェェ!!」 血を噴き出し倒れるオセに後ろに吹き飛んだクロムは彼を挑発する。クロムは刺し違えてでも彼を殺す気であったが横槍が入った。 「たっ、隊長!!撤退だ!撤退するぞ!!」 今まで傍観していた兵士達がオセを掴み国境線に向かって逃げ始めたのだ。 「ふざけんな!戦え殺されろ!逃げるなぁオセェエェェー!!」 彼の叫びも虚しくグラム兵は撤退して行った。 完全に見えなくなった瞬間、クロムは崩れ落ちた。 「兄さん!?」 倒れたクロムにルークは近付くと水溜まりを踏んだ様な音がした。 彼は恐る恐る足元を見ると辺り一面が血の海に変わっている事実に気付いた。 「ゲホッゲホッ!……やっぱ…もう、無理っぽいわ」 クロムは弱々しく言うとルークにある事を告げる。 「今すぐ此処から離れろ……奴ら…遠距離魔術を…発動させるつもりだ…」 薄れ行く意識の中で探知したクロムは離れた場所に砲撃型の魔術が準備されている事を知った。 数十人の術者の魔力を全て込め放つ一発。 「今の俺じゃ、撃ち落とせねぇな…」 吐血しながら話すクロムにルークは寄り添った。 「ごめんなさい…僕がでしゃばったばかりに……魔力だって僅かしか」 「気にするな…それにまだやるべき事がある!」 クロムは立ち上がる。立ち上がる間、血が止まる事なく流れでるがもう痛みと寒さも感じない。 「ルーク…お前が魔弾を撃ち落とすんだ」 ――― ―― ―
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