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「来たぞ!」
クロムの叫びにルークは残り少ない魔力で西古代魔法エクスカリバーを発現。強く握り締めた。
「足を踏ん張り、腰を入れろ!
目標から目を逸らすな、自分の全てを剣に込めろ!」
彼の言葉を聞きルークは向かって来る魔弾を見た。赤く輝き熱気を放つ球体。
「上級の中位と言った所か…」
クロムが答えと彼はルークの後ろに立った。
「よく聞け、お前は魔弾を撃ち落とす。俺は砲台を破壊する。どちらか一方の失敗も許されない…分かったな?」
「…はい、分かっています!」
クロムは左手に参式、最後の夢幻を出現させた。壱式は右目の止血に、弐式は右腕の変わりの義手に使っている。
「最後の夢幻だ」
――ゲイボルグverクラスター
夢幻は槍の形に変わる。彼は逆手に持ち、残った左腕が膨張する。
彼が構えている間にも魔弾が近付く。クロムは脚が地面に突き刺さるほど強く蹴る。
瞬間的に爆発的な力を槍に込め放つ。
同時にルークもエクスカリバーで魔弾に突きを放つ。
――勝利の突き
剣から光り輝く光線が伸びる。光線は強い光りを放ちながら魔弾に直撃――爆散した。
「やった…!」
危機が去った事に歓喜した。
これで皆の元に返れる。そう思っていた。……そう、思っていたんだ
「ルークゥウゥゥ!!!!」
突如として黒い暴風に飲まれ地面から足が浮く。
「……へっ?」
揉みくちゃにされるなか彼はクロムの方を向いた。
すると声が聞こえた。風魔法を使ったのだろ。
《直ぐに第二波が来る、お前は生きろ。
お前は世界を変える因子を持つのだから》
「なに言ってんだよ!?なんで逃げないんだよ!自分が逃げればよかったじゃないか!!」
《……俺が居た世界は…捻れた所か歪みきっててさ。
自分の事を話すだけで危ない世の中に成っちまった》
「なにを言ってるんだよ…」
《でも、この世界は違う。真っ直ぐだ……まだ真っ直ぐな世の中だ。
そりゃ、多少は歪んでるさ…でも、このまま行けば完全に歪むだろうな…
俺は、この世界が好きだ。
だからこそ、世界が歪んで欲しくないんだよ》
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